2024年3月の記事一覧
令和5年度修了式講話
皆さん、おはようございます。
思いのほか寒い修了式となりました。皆さんの心身の健康状況はいかがでしょうか。…
コロナやインフルエンザもまだ時として猛威を振るいます。先週は、28人が一気にお休みしたクラスがありました。研究も進み、それほど怖い病気ではなくなりましたが、警戒や対策は続けましょう。
少し時間をいただいて3点お話しいたします。
まず、3学期を振り返ります。3月8日に卒業式を行い、249名の3年生が卒業しました。2年生の皆さんは一緒に式場でお祝いしてもらいました。厳かな式に立ち会い、来年に向けての意識も持ってもらえたかと思います。1年生は出席はしませんでしたが、あとで部活動等でお祝いをしてもらえたものと思います。
3学期の成果を見てみましょう。通知表には自分が思うような結果が残せたでしょうか。数字に残る立派な結果を残した人は少なくありません。評定平均が4.3以上の成績優良者は1年生15人、2年生35人でした。特に2年生の頑張りは注目すべきものだと思います。よく頑張りました。
思うような結果が残せなかった人、くよくよしても仕方がありませんし、
開き直って気にしないのも進歩がありません。冷静に、失敗を分析して、良くなかったことを直しましょう。
次はきっと、結果を出す、そう決めれば結果が出ますよ。自分を信じてください。それが唯一の方法です。
2点目は、交通事故防止についてお願いです。今年度これまでの事故件数は、前年のおよそ6割に減少しました。前年度47件、今年度28件です。皆さんが十分に注意をしてくれた結果だと思います。本当によかったです。単独事故が16件と過半数です。けがが重かった生徒もいます。タイヤが細いこともあり、よく滑ります。スマホを見ながらの事故も見受けられ、事故に至らないケースは相当あるものと推測します。やめてください。車や他の自転車との事故もあり、治療や処理には大変な手間や苦労が
伴います。引き続き気を付けてください。お願いします。なお、自転車ヘルメット着用モデル校の委嘱期間が
この3月をもって終了となります。きのう、埼玉県警の担当者の方がお見えになり、委嘱を受けたことに対して、桶川高校が感謝状をいただきましたので、ご報告いたします。
今後も自転車乗車時のヘルメットは、自転車に乗るすべての方の命を守る大切なアイテムです。皆さん自身だけでなく、
友達もご家族の方も、自転車乗車時のヘルメットを、法律に従って着用していただけたら、と思います。
もしも事故に遭って、損害賠償問題に発展した時、ヘルメット着用の努力義務を果たしていなければ、
過失相殺の結果、もらえる賠償金が減ることがあると言われています。ヘルメットの種類が増え価格は安いものも揃ってきました。一見帽子のように見えるものや髪型崩れを防ぐインナーヘルメットというものもあります。
「これならかぶれる」というものがきっと見つかります。自転車に乗る時はヘルメットをかぶって、大切な命を守りましょう。
3点目は、よく知られた化学実験の定説に疑問を持ち、新たな説を示した2人の高校1年生のことをお話しします。
2人は宮城県仙台市の高校に通い、自然科学部に入っています。火であぶった白金の箔(はく)に水素ガスを吹き付けると、
爆発的に燃える実験を見て驚きました。「水素に火などのエネルギーを与えていないのに、なぜ爆発するのか興味を持った」と言います。
この現象はこれまで、白金の触媒作用で、箔の表面についていた酸素原子が水素原子と反応し爆発するためとされてきました。しかし、条件を変えて実験を繰り返すうちに、疑問を持ちました。箔を重ねて厚みが増すと、爆発が起こらなかったからです。
定説通りであれば、厚さは関係がないはずです。表面だけでなく、裏面も関係しているのではないか――。試しに裏面にセロハンテープを貼ると、爆発は起こりませんでした。
2人は実験と分析を進め、箔の裏側にある酸素が、箔に開いた小さな穴を表側に通り抜ける時に触媒作用が起き、定着した酸素原子と水素原子が反応し爆発することを明らかにしたそうです。この成果は昨年、ある自由研究のコンテストで高く評価されました。そして日本代表として世界でも5月に発表をするそうです。審査に当たった方は「定説をうのみにせず自分たちで仮説を立て、実験し検証した。方法もユニークでよく考えられている」とたたえました。2人は「研究をより発展させ、触媒反応を効率化し、白金の使用量軽減を目指したい」と語りました。実験では、箔が柔らかくて形が不安定なことや、
ハサミで切る時の静電気に悩まされたそうです。実験が簡単にうまく行くわけではないのですね。
定説や当たり前になっていることがらがいつも正しいとは限りません。自然科学の分野に限らず、何でもそうです。「なぜ、どうして、これはおかしい」という疑問が世の中を良くしていくことにつながっています。若いみなさんは基礎基本を大切にしつつ、疑問をそのままにせず、より良く生きていきましょう。
さあ、令和6年度もいいスタートを切りたいものです。明日から16日間の春休みです。
交通事故やトラブルに遭わないよう十分に気をつけてください。換気などの感染防止や、体調管理も続けてください。
4月8日の始業式には元気な顔を見せてください。それでは、皆さん、よい春休みを!
令和5年度卒業証書授与式式辞
暦の上では春となって久しくも、その春が行きつ戻りつしているかのようで、時に寒さや雪に見舞われます。…
…それでも春の歩み着実で、近隣の梅の花など早春の花は、見頃を迎えて咲き誇っています。
本日この佳き日に、桶川市教育委員会教育長職務代理者水村実男様をはじめ、ご来賓の皆さま、保護者の皆様のご臨席の下、令和五年度埼玉県立桶川高等学校第五十回卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、私達教職員にとりましても、この上ない慶びであり、心から感謝申し上げます。
保護者の皆様もこの喜びはひとしおかと存じます。心からお祝いを申し上げます。卒業生の皆さんの高校生活は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。特に二年生までは、行動制限も多く、コロナ禍前の高校生活を知る私たち年長者の目には、総じて気の毒に写っていました。しかしながら、あなた方にとっては、前はどうだったかなどという尺度の持ち合わせがあるはずもなく、桶高でのこの三年間こそが高校生活の定義でした。あなた方は、一つ一つの経験のその時その時を大事にし、楽しみながら、精いっぱい過ごしてくれました。
部活動でも、先輩の背中を追い、驚くほどに成長し、そして後輩の憧れになりました。この三年間を通じて、たくさんの思い出ができました。高校生活最後を締めくくる今日の卒業式を、胸を張って大きく息を吸って迎えられたことを嬉しく思います。また、本日、ここで一緒に祝うことはできなくても
皆さんの卒業を心から喜んでいる人がいます。後輩の一年生たち、小中学校の先生やお世話になった方々、ほかにもまだまだ顔が浮かびますね。心は一つです。気持ちを想像し、卒業式を味わってください。只今卒業証書を授与しました二百四十九名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんの努力と保護者の皆様や周囲の方の支援が実を結び、今日の卒業につながりました。これからは、それぞれの道を、決意をもって前に進んでください。人生の新たな門出を迎えた皆さんに、正直に生き、人に信頼される幸せな人生を送ってほしいと考え、一つ、お話をします。
昔、十九世紀のアメリカで、ある二十歳過ぎの貧しい家の出の若者が店員として働いていました。ある日、そろそろ閉店という頃合い、手元の現金を計算すると、何度計算してもほんの少し多く残っていました。今と貨幣の価値が違いますし、諸説あるので大体になりますが、ざっと三千円の買い物で十円程度と思ってください。よくよく思い出してみると布を買った常連の女性客にその分だけ多くもらってしまったことに思い至りました。彼は、すぐに店仕舞いをし、夜道を二時間ほど歩いて、女性の家までお金を返しに行ったといいます。そして、彼は、ごまかしも、嘘も、言い訳も言わず、素直に心からお詫びをしてお金を返しました。感激した女性から若い店員の彼が得たものは、「正直者」という何物にも代えがたい評価でした。その後、彼はますます多くの人に信頼されるようになり、およそ三十年後、彼はアメリカ合衆国第十六代大統領になりました。歴代大統領の中で最も有名で偉大な大統領の一人です。彼の名は、エイブラハム・リンカーン。どんな人にも誠実に対応し、正直さを貫くことで、他人の信頼を得て、社会的な成功も収めました。人から信頼されることは、人生における心の豊かさ、幸せの実感にもつながるでしょう。ぜひ皆さんも正直に、誠実に、今後の人生を歩んで行ってください。
どうか皆さんの前途が、心身ともに健康で、充実したものでありますよう心から願い、式辞といたします。
令和六年三月八日
埼玉県立桶川高等学校長 小林 美奈子